自閉症理解啓発ソング「ぼくは生きている」

 自閉症映画「ぼくはうみがみたくなりました」の上映会を実施し始めてから、今年で10年になります。

 実は、その前の5年間は、「心のコンサート」を実施してきました。演奏は、千葉のアマチュアバンド「人力車」が担当しました。私は、各コンサートごとに1曲ずつ作詞をして曲をつけてもらっていました。

 その曲を順次紹介していきます。1回目は、私が初めて作詞した曲「ぼくは生きている」です。この曲は、ある自閉症の男の子との出会いから生まれました。歌詞の内容は、ほぼ事実です。私の特別支援教育の原点です。なお、下のリンクから、歌詞(PDF)をダウンロードできます。また、曲(MP3)を聞くこともできます。


「ぼくは生きている」  作詞:井上 達也

1.

ぼくは 生きている

せいいっぱい 生きている

小学校の入学式 ずっとずっと泣いた

人がいっぱいの 体育館 マイクの声が響く 体育館

ほかの人には 分からないかも しれないけれど

本当に 怖かったんだ 本当に つらかったんだ

普通の人と ちょっと違った ぼくの心

車を見ると 気になって仕方がない

漢字や 計算 よく分からないけれど

車の種類は すぐに分かるんだ

それって変かな おかしいのかな

ぼくの心は 白いキャンパス そんな心に 絵を描く

人から見れば 下手かもしれない 立派な絵だって 描けやしない

ぐちゃぐちゃ ダメって人はいう

でも、そのぐちゃぐちゃの中 ぼくは生きている

自分の世界で 自分の歩みで せいいっぱい 生きているんだ

2.

ぼくは 学んでる ゆっくりゆっくり 学んでる

1年生の7月に はじめて言葉が 口に出た

ずっと話せなかった ぼくだけど

心を伝えられなかった ぼくだけど

心と言葉 つながってきた つながってきた

本当に 嬉しかったんだ 本当に 楽しくなったんだ

普通の人と ちょっと違った ぼくの心

言葉が口から いっぱい いっぱい あふれてくる

いつでも どこでも 止めることが できないけれど

ぼくの 心は叫んでる 話せるだけで 楽しいんだよ

ぼくの心は 大きな半紙 そんな心に 字をつづる

人から見れば 下手かもしれない

立派な字だって 書けやしない

ゆっくり進む ぼくの時間

でも、そのカメの歩みで ぼくは生きている

自分の世界を 自分の道を ゆっくりゆっくり 生きているんだ

ぼくは 生きている せいいっぱい 生きている

ぼくは 学んでる  ゆっくり ゆっくり 学んでる

発達相談室カメの歩み

静岡県駿東郡清水町の民間の発達相談室です。 心理検査に基づいた客観的なデータを元に、子供の困り感に寄り添った支援を実施します。 その子の成長の手掛かりとなる強み、緊急にフォローが必要な弱みをまず洗い出します。 本人がすでに知らず知らずのうちに実施している困り感への対処を価値付け、自分自身で勇気を持って、前に進んでいけるよう勇気付けていきます。